村上龍とコミュニケーション

僕はまだ読んでないのだが、村上龍の『半島を出よ』の感想?を読んで。

力が現れている部分は、例えば、全編を通しての「意思決定」と「コミュニケーション」への村上龍特有の批判的な視線です。少年達を中心とするグループと北朝鮮の占領軍、日本政府の3つの極をそれぞれ際立たせて対比させることで、現在の「意思決定」と「コミュニケーション」の空洞化やちぐはぐさを描き出そうとしていることがよくわかります。そして、その空洞化やちぐはぐさを描き出すことに成功していると思います。

村上龍のこういう系の作品って、全体的にそういう香りは漂っているよなぁとは思ってみたりする。もしかしたら、政治の舞台装置とかよりはそちらが重いのかななんて思ってみたりもする。『愛と幻想のファシズム』もそうだし、『希望の国エクソダス』とかもそうだったかなと思う。
特に後者はポンちゃんと大人の間の噛みあわなささが、永遠と続く感じだった。「この国には何でもある。だけど希望だけがない」っていうテーゼはきっと、全く理解不能なテーゼでもあっただろう。

そんなこと考えてたら、『半島を出よ』も猛烈に読みたくなってきた。あれ上下で買うと値段がね…。これ以上は…ぐぅ。