神の目線って。

梅田望夫さんの『ウェブ進化論』は相変わらずはまっているが、色んな視点からの議論が見れて、ウェブって面白いなぁとしみじみ思ってみた。その中で、阿部重夫さんの「ウェブ進化論2――ラムズフェルドの民主主義」と題したものがあって、なんか違和感があるなぁ…と思ってたら、「404 Blog Not Found:神の視点!?いやいや、あれは元気玉。」を読んで深く納得。

むしろ、この「(≒無限大)×(≒無)=Something」という、Googleが提示した新しい「神」は、「神」というより「ドラゴンボール」の元気玉に近い。知らない人のために説明すると、元気玉とは同書の主人公孫悟空が、生きとし生けるものの「気」を少しずつ集めて作る「武器」で、これを使う事と宇宙最強の敵とも渡り合える。

失礼ながら笑ってしまったが、とても納得。あとはこうした人々の意見の精度だなぁと思う。いみじくもオルテガが「大衆の反逆」と言ってみたり、ニーチェが「畜群」と言ってみたり、フランシス・フクヤマが「歴史の終わり」と言ってみたり、とにかくここには悲観的な見方が多かった訳で、課題は多い。

ただ情報という切り口は本当に可能性があると思っていて、多くの時間、資金、労的なコストの元で断念されてきた情報が共有されれば、変わる可能性のあることも多い。それを「こちらの世界」でいかに実現するか…。

ちなみに阿部さんの記事は3部作?で、3番目の「ウェブ進化論3――「離魂」のロングテール」は面白かった。

とはいえ、アマゾンだって「こちら側」、つまり物流がどれだけ過酷な低賃金労働のもとに成り立っているか、人材派遣業者なら知らぬ者はない。物流と人事管理の徹底したその合理主義は、「もうひとつのウォルマート」とも言える。非対称性を除去してしまう「完全市場」とは、実は「市場の死」ではないかと言いたくなる誘惑に駆られる。

この辺りはどうしてもぶつかる課題だなと思う。本文で触れられてる吉本隆明でいうと、『マチウ書試論』で扱われる「関係の絶対性」なんかを思い出し、ふーむなんて思ってしまった。

全体的にはgoogleだけではなくてテクノロジーに対しての誤解があるんだろうなと思いつつも、部分部分においては、その抱えている課題を描いてもいるようにも思ったりする。…どっちつかずではあるけれど。


ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

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大衆の反逆 (中公クラシックス)

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善悪の彼岸 (岩波文庫)

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歴史の終わり〈上〉歴史の「終点」に立つ最後の人間

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マチウ書試論・転向論 (講談社文芸文庫)

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