家族同意による臓器移植雑感

家族による承諾のもと、臓器移植が実施された件が報道されている。
http://mainichi.jp/select/science/news/20100811ddm041040056000c.html
背景としては、改正臓器移植法の施行に伴い、本人の提供意思が書面で残されていない場合、提供を口頭でも拒んでいたことがなければ、家族の承諾で臓器を提供できるようになり、その適用事例ということになる。
ほかの報道を確認すると、家族の独断とかではなく、本人の意思表示があったらしい。

本人の書面による意思表示なしに家族の承諾で脳死判定が行われ、改正臓器移植法に基づいて初めて脳死と判定された20代の男性が、家族で臓器移植関連のテレビを見ていた時に提供の意思があることを話していたことが分かった。

 日本臓器移植ネットワークによると、男性は交通事故による外傷で入院。家族には万一の時は臓器を提供してもいいという意向を伝えており、家族の総意で脳死臓器提供を決めた。男性が家族に話した時期や、臓器提供が脳死下を指すのか心停止下を指すのかは明らかにされていない。
http://mainichi.jp/select/science/news/20100810dde001040007000c.html

臓器移植には複数の考え方が混成されている。救うことを求めているひとと、救うことができる手段があることに対する、人道的な、もしくは「希望」に対する目線。自分の臓器の行く末を自分で決めることができるという自己決定、自己所有の目線。また現時点では生体移植は認められないため、結果として脳死をひとの死として扱う、生命に対する目線。
またここで認可が下りなければ、結果として外国で移植を実施することになるという現実。それは他国で他国の死を待つ形にもなり、高い医療費と、、そして国内で面しないだけで同じ倫理的課題を残した行動となる。それを妨げることは、将来への希望に対する、誰も邪魔できない欲求だろう。
その上で本当にそれでいいのか、まだよく分からない。自分が同じ立場なら?よく分からない。しかし、このまま舵を切り続けてよいものだろうか。