善き人のためのソナタ

lackofxx2007-02-24

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原題はDas Leben der Anderen。ざっくり訳すと、他者の人生というところ?生活の方が妥当か。

1984年、東西冷戦下の東ベルリン。国家保安省(シュタージ)局員のヴィースラーは、劇作家のドライマンと舞台女優である恋人のクリスタが反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる。成功すれば出世が待っていた。しかし予期していなかったのは、彼らの世界に近づくことで監視する側である自分自身が変えられてしまうということだった。国家を信じ忠実に仕えてきたヴィースラーだったが、盗聴器を通して知る、自由、愛、音楽、文学に影響を受け、いつの間にか今まで知ることのなかった新しい人生に目覚めていく。ふたりの男女を通じて、あの壁の向こう側へと世界が開かれていくのだった…。

非常にじわじわくる映画だった。素晴らしい。シネ・リーブル梅田でやっております。ぜひ。
ヴィースラーというより、全体主義化で失われた「わたし」を取り戻す過程であった。それはまさに、ラストの感動的な一言にも通じているように思われた。
恐ろしいのはこれが現実にあった出来事だということだ。実際に、友人も恋人も、家族が、ときに密告者であったという残酷な現実が突きつけられる。人間性とは一体なんなのか。そんなものが果たしてあるのか。アートには何が出来るのか。自由とは何なのか。多くの問いを突きつける。
ヴィースラーは確かにアイヒマンではない道を選んだのかもしれない。クリスタは一方で、弱い一面を見せたのかもしれない。しかし、我々はヴィースラーになれるとは限らない。クリスタのようである可能性の方が、むしろ大きいのだ。彼はある意味において、良心の一部の顕れであった。
HGW XX/7のその良心に敬意を。

アドルフ・アイヒマン - Wikipedia

イェルサレムのアイヒマン――悪の陳腐さについての報告

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全体主義の起原 1 ――反ユダヤ主義

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